専業主婦になって収入がゼロになるということ。

「ああ、高いな…」

 

彼女がこの言葉を口にするのは何度目だろう。

そう思いながら私たちはウインドーショッピングをしていた。

 

彼女は元々こういう娘だっただろうか?

 

昔から浪費家ではなかった記憶はある。

でも、こんなにも呪いのように「お金がない」と言い

買い物をすれば真っ先に値札を見るような人間だっただろうか。

 

彼女が変わった理由は分かっている。

 

専業主婦になったからだ。

 

専業主婦というのは無収入だ。

お金を使えば、そのマイナス勘定を自分で埋めることができない。

家計から「お小遣い」というカタチでもらうことはできるけど、

その分家計がマイナスになるのだからどうも遠慮してしまう。

 

だからお金を使うことに対して罪悪感がでてくる。

特に自分のモノに対しては。

 

「だんなさんは『子どもが大きくなったら家計のために働いてほしい』って言うの。

でも子どもが大きくなったらもう40歳近くになるでしょう?

そこから仕事なんて、見つからないよねえ。」

 

「あなたなら大丈夫だよ!」

 

…と言えばよかったのかもしれない。今思えば。

 

でも気が利かないので、とっさに「そうだねえ」と言ってしまった。

 

「正社員は、難しいかもねえ。」

 

なんて気が利かない答え。

 

「だよねえ。」

といいながら値札を凝視するウインドーショッピングを続けて。

 

 

 

わかる。わかる。

 

私は専業主婦の時、コンビニで高いコーヒーも買えなかった。

もちろんコーヒー代くらいあるんだけど、マイナス勘定を埋める見込みがなかったから

お金が出ていくのがすごく怖かった。

 

 

しばらくして、いろいろご縁があって月に数千円の仕事がいただけるようになった。

すごくうれしかった。

 

収入がゼロじゃない!!

プールできるお金がある!!

 

罪悪感なくスタバでフラペチーノを買った。

隣のTSUTAYAで本も買った。

 

あのときの解放感は忘れない。

 

 

 

 

もちろん「専業主婦」といっても、いろんな夫婦、家庭があるのでひとくくりにはできません。

私の感じたこととは無縁の人もいると思うし、もっと言えば先の彼女も「お金がない」という表現は同じでも、根っこの問題は全く別のものかもしれません。

 

 

 

私が専業主婦になって感じたこと、それは「収入ゼロ」の怖さ。

金額が減る一方の通帳を見る恐怖。

収入「ゼロ」なんだからやりくりの仕様もない。

 

 

 

今、お仕事をいただけるようになって「収入ゼロ」ではなくなりました。

 

もちろん実際の「お金」も大きな安心ですが、

「自分はまだお金を稼ぐことができる」

という事実が、

 

実は一番の心の支えとなっているのかもしれません。